日本政府が「商」級と特定した中国海軍の原子力潜水艦は、敵の水上艦や潜水艦、陸上目標を魚雷やミサイルで破壊する攻撃型潜水艦とされる。米軍の空母を東シナ海などから排除する「接近阻止・領域拒否」戦略の重要な一角を担うとみられる。
香港メディアの報道によると、今回、確認された潜水艦は、通常の「商」級より高性能な改良型の可能性がある。
水中で敵に見つかりにくいよう静粛性を高めたうえ、新型の対艦巡航ミサイルを十数発、搭載できるようにしたことなどが特徴で、ある点では米国の潜水艦にも比肩するとの見方があるという。ミサイルの射程は540キロに達し、120キロの従来型より大きく向上ともされている。
原潜は通常型よりも長く潜航でき、大型化が可能なため、搭載兵器も拡充できるメリットがある。中国は約10隻を保有し、そのうち「晋」級は核ミサイルを搭載して深海にひそみ、敵の先制核攻撃に備えて反撃能力を担保しておく戦略原潜と位置付けられる。
一方、日本政府は、海上自衛隊の警告にもかかわらず、潜没したまま尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の接続水域に進入していた中国海軍の原子力潜水艦を追尾していたことを公表した。対潜水艦作戦は「秘中の秘」とされる中、中国側が尖閣をめぐり挑発をエスカレートさせようとしていることを国際社会に知らしめるため、あえて対応の一端を公表したのだ。