【専欄】混合所有制の狙いは何か 拓殖大学名誉教授・藤村幸義

 中国は国有企業改革の一環として「混合所有制改革」の推進を図っている。すでに模範となる試点企業も相次いで発表されている。その目的は「出資構造の多元化により、国有企業の収益性と効率性を引き上げ、中国経済の主体に据えること」というのだが、本当の狙いはどこにあるのだろうか。

 試点企業は第1、第2弾で合計19社、そして昨年末に第3弾として31社が選ばれた(第3弾の企業名は未公表)。これらの合計50社の中でとりわけ目立つのは、中央企業(中央政府が監督管理する国有企業)の子会社が半分近くも含まれていることだ。対象は子会社なのだが、実際には親企業を選んだのとほとんど変わらない。

 第2弾で公表された中央企業名には、中国長江三峡集団、中国中車集団、中国航空集団、中国民航信息集団、中国聯通集団、中国核工業集団、中国航天科工集団、中粮集団などそうそうたる巨大企業が並んでいる。

 例えば中国聯通(チャイナ・ユニコム)の混合所有制改革はどのように行われているか。中国人寿、テンセント、百度、アリババといった企業から資金を導入するため、チャイナ・ユニコムの持ち株比率は下がる。それでも導入する資金の比率は、中国人寿の場合で10%程度、アリババに至っては3%ちょっとでしかない。チャイナ・ユニコムががっちり経営権を握っていることに変わりはない。

 チャイナ・ユニコムは、中国移動と中国電信に次ぐ第3位の国有通信会社だが、技術革新で後れをとり、営業収入はこのところじり貧状態にある。つまり混合所有制改革の名のもとに、他社から資本導入して、再起を図ろうというわけだ。他社の多くは、今を時めくネット関係の民間企業である。

 このようなケースは他の多くの試点企業にもみられる。つまり混合所有制改革は、問題を抱える大型国有企業に主に民間資金をつぎ込むことで、延命を図ろうという戦略の色彩が強い。資本参加した企業が経営へ参画し、民間の活力を発揮すると言った事例は、残念ながらほとんどみられない。

 本来ならば、より大胆に混合所有制を実施し、いずれは中央企業の民営化につなげていくのが望ましい。ところが現実には、民営化への道筋はさっぱり見えてこない。これでは資本参加した企業にとって、どれだけの意味があるのか。ただお付き合いをさせられただけに終わってしまう。