【高論卓説】金融機関の比較「見える化」 中小活性化へ担保・保証融資から転換 (2/2ページ)

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 2016年9月に公表された同ベンチマークは、顧客本位の指標(KPI)と呼ばれるもので、5つの共通項目と50の選択項目が並ぶ。例えば、共通項目では、「担保・保証依存の融資姿勢からの転換」として、「金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数および融資額、および、全与信先数および融資額に占める割合(先数単体ベース)」などが掲げられている。

 金融庁は、これまで同ベンチマークは、各金融機関が自己の経営を点検するためのメルクマールとなることを期待して、個別の金融機関の時系列での改善状況などを取りまとめてきた。しかし、昨年11月に公表された「平成29事務年度 金融行政方針」には「比較可能な共通の指標群(KPI)の策定」が盛り込まれた。また、昨年12月に開催された金融仲介の改善に向けた検討会議では、有識者から「(KPIの)比較可能性を高めるとともに、比較結果を公表することで、借り手に分かりやすく見える化することが重要」との意見が出された。

 こうした一連の動きを踏まえ、金融庁ではベンチマークの各項目について、金融機関間の改善状況などの比較を準備している。例えば、KPIの選択項目に掲げられている「中小企業向け融資のうち、信用保証協会保証付き融資額の割合、および、100%保証付き融資の割合」や「本業(企業価値の向上)支援先数、および、全取引先数に占める割合」「本業支援先のうち、経営改善が見られた先数」、さらに「転廃業支援先数」などのベンチマークについて、金融機関の改善度合いが相互比較され、「見える化」される。

 金融機関、とりわけ地域金融機関にとっては、今回のKPIの相互比較「見える化」は相当なプレッシャーになると予想される。地方経済が活性化しなければ日本経済の底上げは望めない。金融庁の狙いもそこにある。

【プロフィル】森岡英樹

 もりおか・ひでき ジャーナリスト。早大卒。経済紙記者、米国のコンサルタント会社アドバイザー、埼玉県芸術文化振興財団常務理事を経て2004年に独立。59歳。福岡県出身。