フィリピン利上げ時期探る 8日に中銀会合、準備率下げは困難

インタビューの質問に答えるフィリピン中銀のエスペニーリャ総裁=マニラ(ブルームバーグ)
インタビューの質問に答えるフィリピン中銀のエスペニーリャ総裁=マニラ(ブルームバーグ)【拡大】

 フィリピン中央銀行は8日、金融政策決定会合を開き、増税などを背景にインフレ圧力が高まりを見せる中、現在の中立姿勢から引き締め姿勢への転換などを討議する。エスペニーリャ総裁は、市場改革の一環として市中銀行の預金準備率を引き下げると公約していたが、米国に続きアジアや欧州が相次いで引き締め局面に入る中で、同中銀は主要政策金利(翌日物リバースレポ金利)引き上げに向けた対応が立ち遅れていると指摘されており、難しい判断を迫られそうだ。

 ◆なお慎重姿勢

 エスペニーリャ総裁は2日までにマニラでインタビューに応じ、預金準備率の引き下げが難しくなってきていると認めた上で「インフレとの戦いや物価目標維持の観点から中銀が警戒を緩めているとの姿勢を示さないよう注意が必要だ」と語った。

 フィリピンでは大手銀行の預金準備率が20%と、アジア地域で最も高い水準となっている。同総裁は半年前の就任時に広範な市場改革の一環として、準備率引き下げを公約に掲げ、主要目標の一つとしていた。年内にも預金準備率を東南アジアの他国並みの10%未満への引き下げ実現を目指しているが、同総裁は「市場を惑わすリスクを冒すことはできない。インフレ率が上昇傾向にあるかもしれないとの認識があり、準備率引き下げのタイミングは難しくなってきている」と説明した。

 同中銀が早ければ1~3月期にも金融引き締めに転じる可能性があると予想するエコノミストもいるが、同総裁は利上げに慎重な姿勢を取っており、引き締めに動くかどうか言及を避けている。

 好景気に沸くフィリピンでは1月から新税法の下、石油製品の物品税引き上げや砂糖入り飲料への加糖飲料税が導入された。増税がインフレ見通しに及ぼす影響についての同中銀の検証は完了していない。

 エスペニーリャ総裁は「目下のところ、中銀職員は調査を実施し、(新税法の)副作用の有無やインフレ予想の兆候が一段と顕著になっているかどうかを判断するためにこのところの経緯の影響を評価する作業に追われている」と説明した。

 ◆新税法の影響しだい

 BDOユニバンクのチーフ市場ストラテジスト、ジョナサン・ラベラス氏は「8日の会合で金融政策の調整を検討するのは時期尚早かもしれないが、物価上昇のリスクを強調する可能性はある。そのことがインフレ見通しの修正につながった場合は、今年上半期、恐らくは4~6月期にも利上げがありそうだ」と予想する。

 同中銀は物価目標を2~4%としているのに対し、昨年12月に示した今年と来年の平均インフレ率見通しは、それぞれ3.4%、3.2%としていた。この見通しには1月施行の新税法の影響は織り込んでいなかったが、政府は税制改革がインフレ率を0.4~0.7%押し上げる可能性があるとみている。

 ただオランダ最大の銀行、INGグループは税制改革で約1%、運賃や賃金、生産コストの上昇といった間接的な影響でさらに1%と、インフレ率が急騰すると予測している。(ブルームバーグ Siegried Alegado、Clarissa Batino)