世界株安、アベノミクス正念場 デフレ脱却判断に遅れも

菅義偉官房長官=6日午後、国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影)
菅義偉官房長官=6日午後、国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影)【拡大】

 東京株式市場での日経平均株価の急落で、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」は、株高と円安が牽引(けんいん)してきた経済の好循環をどこまで続けられるか試される局面にきた。今後、株安と円高が長期化すれば、今年の春闘で賃上げが進まず、個人消費も冷え込む可能性がある。政府のデフレ脱却判断が遅れかねない。

 「金融市場の動向を含め、世界経済、日本経済の動向をしっかり注視していく」。菅義偉官房長官は6日の記者会見でこう述べ、政府として警戒していく考えを示した。

 平成24年12月に発足した安倍政権は、アベノミクスの「第1の矢」である日銀の金融緩和策で円安と株高を生み出してきた。

 この結果、過去最高水準の企業収益や雇用環境の改善がもたらされ、現在「日本経済(の体力)はしっかりしている」(茂木敏充経済再生担当相)との見方が大勢だ。だが、株安や円高が長期化すれば悪影響は必至だ。

 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「企業は収益悪化を警戒し、賃上げや設備投資に後ろ向きになる」と指摘。今春闘でも、政府が経済界に求める3%の賃上げにとうてい届かず、消費者心理が上向かないことを懸念する。モノやサービスが売れなければ企業は値上げできず、デフレ脱却は遠のく。

 また、円高は企業の日本からの輸出を下押しする。ドル建ての企業収益も目減りし、賃上げや投資への消極姿勢がさらに強まる悪循環に陥りかねない。

 米国経済も現時点の「体力」は消費、投資が着実で「堅調に推移している」(菅氏)。だが、米株安が長期化すれば消費や投資の意欲が後退し、今年7月に戦後最長の10年目に入る景気拡大は水をさされることになりかねない。(山口暢彦)