石油メジャー潤沢資金 M&A戦略加速、トランプ減税や原油高追い風

米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊にあるエクソンモービルのトーランス製油所の入り口付近を歩く労働者ら(ブルームバーグ)
米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊にあるエクソンモービルのトーランス製油所の入り口付近を歩く労働者ら(ブルームバーグ)【拡大】

 石油メジャーがM&A(企業の合併・買収)戦略を加速しようとしている。原油価格の低迷を受け、ここ数年は石油メジャーによるM&Aが下火になっていた。しかし、原油価格の回復やトランプ米政権による減税などで積極投資に踏み切る環境が整いつつある。

 ◆長期的な生産拡大

 英調査会社ウッド・マッケンジーが5日までにまとめたリポートで、アナリストらは「石油業界は原油価格の低迷から立ち直りつつあり、長期的な生産拡大を視野に入れた大型案件が実現する可能性が高まっている」と分析した。同社によると石油価格の下落を受けてこの3年間のM&A件数は落ち込んでいた。2014年の550件弱に対し、15~17年には年間450件未満に落ち込んでいた。同リポートでは英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェルと米エクソンモービルなどの石油メジャー5社が今年、積極投資に踏み切るだろうと指摘している。さらに、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、フェルナンド・バレ氏は「14年の原油価格暴落の前に投資されていた複数の石油関連プロジェクトが生産を開始している。今後1年間は原油価格がこれまでより高水準となり、苦境から脱するためのM&Aではなく成長に向けたM&Aが起こる」との見方を示した。

 これらは14年に原油価格を大きく押し下げる原因となった過剰在庫問題から、石油市場がようやく脱しつつあることを意味する。シェルなどの大手は「トランプ大統領の法人税減税によって、長期にわたる恩恵を受ける見通しだ」と期待する。

 複数の石油会社の幹部と面会したシーポート・グローバル・セキュリティーズもこのほどまとめたリポートで、「3月中旬までにテキサス州のシェールガス埋蔵地域のビジネスに関連した投資案件が4~5件発表される可能性がある」と指摘した。

 ◆冷ややかな目も

 実際、エクソンは1月29日、今後5年間で500億ドル(約5兆4950億円)の投資を行うと発表。ニューヨークの原油相場が1バレル=65ドルを上回る水準で推移する中、ウッズ最高経営責任者(CEO)も積極投資に踏み切る背景に、トランプ政権による税制改革があると説明した。

 同社の投資はテキサス州西部とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地が対象。豊富な埋蔵量を有するシェール地域である同盆地ではエクソンが数年間にわたって積極的に事業を拡大している。

 積極投資にかじを切るエクソンだが、あるアナリストは「積極投資といえども、3年前の水準に戻ったに過ぎない」と冷ややかに見ている。(ブルームバーグ Bailey Schulz、Joe Carroll)