ブロックチェーンに別の顔 基盤技術は金融で既に活用段階

チューリッヒにあるUBSの本社。同社はMiFID2向けにイーサリアムを活用する計画という(ブルームバーグ)
チューリッヒにあるUBSの本社。同社はMiFID2向けにイーサリアムを活用する計画という(ブルームバーグ)【拡大】

 投機やボラティリティー(値動き)の大きさ、そして1990年代後半のインターネットバブルの記憶が、ブロックチェーンに言及する企業の株価に影響を与えている。しかし価格変動の激しいビットコインとブロックチェーンとは切り離して考える必要がある。今後、貿易金融プラットフォームに関する銀行のコンソーシアムで活用される見通しのほか、第2次金融商品市場指令(MiFID2)への対応にイーサリアム(Ethereum)ベースのソリューションが用いられるなど、基盤となる技術は極めて現実的かつ強力である。

 仮想通貨の急成長による社会的および規制上のリスクに関する議論が続く一方で、基盤となる技術は既に活用段階に入っている。

 MiFID2の導入および施行をめぐる議論はいまだやまず、引き続き欧州および世界の金融業界が取り組むべき大きな課題となっている。その規制の一つに「リーガル・エンティティー・アイデンティファイアー(取引主体識別子、LEI)」の取得義務がある。

 2017年12月下旬の報道によると、スイスの金融大手UBSとクレディ・スイス、英同業バークレイズ、蘭同業KBCは、トムソン・ロイターやSIXスイス取引所と協力し、こうした要件に関するさまざまな面で自動化を進めているもようだ。識別子のデータ管理には、仮想通貨のイーサリアムをサポートするブロックチェーン技術を用いる計画という。

 最も注目されるブロックチェーンの用途の一つが貿易金融だ。膨大な書類業務や、輸送および所有権の安全な追跡作業が代替され、瞬時に送金できるようになる。

 17年12月のスウェーデンのノルデア銀行の加盟発表を受け、同年10月に「デジタル・トレード・チェーン」から名称を変更したコンソーシアム「ウィ・トレード」がうまくいく可能性が高まっているように見受けられる。ノルデアは、北欧中小企業の国内および国境を越えた、安全かつ効率的な商取引の推進を目指しての加盟としている。パートナーに選ばれたIBMは、ハイパーレッジャー・ファブリックを活用してブロックチェーンプラットフォームを構築する。

 ウィ・トレードの創設メンバーは、12月加盟のノルデアのほか、スペインのサンタンデール銀行(10月に加盟)、ドイツ銀行、英HSBC、KBC、仏ナティクシス、蘭ラボバンク、仏ソシエテ・ジェネラル、伊ウニクレディト。

 中期的にデジタル化と新技術による大幅な効率化によって、銀行が恩恵を受け得ることに疑いの余地はない。また、短期的な投資負担や常識を覆す新規参入による収益低下・価格下落の懸念も現実味を帯びてきた。ソシエテ・ジェネラルはコスト削減目標達成に向けて、デジタル化に重点を置くとしている。

 ウィ・トレードは18年2月にクライアント側の試験運用を開始し、4~6月期に商用化を予定している。(ブルームバーグ Jonathan Tyce、Tomasz Noetzel)