30年春闘 世界同時株安に警戒感 労使交渉スタート 賃上げ3%の実現焦点

春闘の要望書を提出する新日鉄住金労働組合連合会の大森唯行会長(左)と要望書を受け取る右田彰雄常務執行役員=9日午前、東京都千代田区(松本健吾撮影)
春闘の要望書を提出する新日鉄住金労働組合連合会の大森唯行会長(左)と要望書を受け取る右田彰雄常務執行役員=9日午前、東京都千代田区(松本健吾撮影)【拡大】

 新日鉄住金や三菱重工業など、鉄鋼や造船などの大手企業の労働組合が9日、春闘の要求書を会社側に提出し、平成30年の労使交渉が始まった。安倍晋三首相が経済界に3%の賃上げを要請し、多くの企業が好業績を記録。だが、急激な世界同時株安で経営側の警戒感が強まり、厳しい交渉になることも予想される。

 東京・丸の内の新日鉄住金本社では、新日鉄住金労働組合連合会の大森唯行会長が要求書を読み上げ、人事労務担当の右田彰雄常務執行役員に手渡した。

 鉄鋼大手では2年分まとめて交渉するのが通例で、新日鉄住金労組は今回、従業員の基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分で、30年、31年ともに月額3500円を求めた。

 鉄鋼などとともに、労使交渉の牽引(けんいん)役となる自動車や電機大手の各労組は来週一斉に要求を提出。約1カ月交渉し、3月14日に大手企業が集中的に回答を示す予定になっている。

 今春闘の最大の焦点は賃上げ率3%を実現できるかだ。各労組のベアや賃金改善分の要求は率にすると1%前後だ。これに定期昇給(定昇)分2%と合わせて約3%の賃上げを要求。このため3%実現には、満額回答を引き出さなければならない。

 春闘前哨戦では、安倍首相に加え、経団連が春闘方針で3%賃上げを言及したことや、企業業績の上方修正が相次ぐなど、平成6年以来、約四半世紀ぶりとなる3%の高水準賃上げ実現の機運は高まっていた。

 しかし、世界的な株価急落がこれに水を差す。急落は一時的という見方が大勢だが、実体経済への悪影響を懸念する経営者も多く、賃上げの勢いが弱まれば、3%を実現できない可能性が高まることになる。(平尾孝)