石炭火力率5ポイント上昇55%に フィリピン27年予想、電源多様化進まず

マニラ首都圏で電柱の設置作業をする電力会社の作業員(ブルームバーグ)
マニラ首都圏で電柱の設置作業をする電力会社の作業員(ブルームバーグ)【拡大】

 フィリピンの電力分野は、政府が電源の多様化を目標に掲げる一方で、当面は石炭火力発電が中心になっていきそうだ。英調査会社BMIリサーチは、フィリピンの電源構成比で石炭の割合が、2017年の50%弱から27年に55%まで上昇するとの見通しを示した。現地紙マニラ・タイムズなどが報じた。

 同国政府は、16年11月に発効した気候変動に関する国際的な枠組みであるパリ協定に署名した。同協定にもとづき、30年までに温室効果ガスの7割削減という目標を掲げ、天然ガスや再生可能エネルギーといった「クリーンエネルギー」の電源構成比を引き上げるとしている。

 しかし、BMIリサーチは電源の多様化に向けた具体策がこれまで出てきていないうえ、今後の開発計画も石炭火力が中心だと指摘した。同社によると、フィリピンはマニラ首都圏で発電容量100万キロワット級の石炭火力発電所の建設計画などが承認済みで、電力開発計画のうち54%を石炭火力が占めるという。

 一方、16年に356万キロワットを追加した再生エネ(水力を除く)をみると、20年までに合計540万キロワットの開発計画がある。しかし、BMIリサーチは、21年以降に目立った計画がないことから拡大は限定的で、構成比は20年の20%から27年には16%に縮小すると予測した。

 天然ガスについては、同国の主要ガス田であるマランパヤ・ガス田に枯渇の懸念がある一方、新規ガス田の開発のめどが立っていないとし、安価な石炭に対する競争力に不安が残るとした。液化天然ガス(LNG)もインフラ面などの課題があることから、拡大は限定的になる見通しだ。

 フィリピン政府は、18年からの税改正で石炭にかかる物品税を1トン当たり10ペソ(約21円)から同50ペソに引き上げた。石炭の依存度低減を目的とした措置で、19年には100ペソ、20年には150ペソへの段階的な引き上げが予定されている。

 この増税についてBMIリサーチは、電力分野における石炭依存が解消されるかどうかは不透明だと分析した。ただし、長期的な視野に立った再生エネへの投資は増加する可能性があるとしている。(シンガポール支局)