パキスタン、国営航空の民営化論再浮上 実現には法改正など難題も

首都イスラマバード近郊にあるベナジル・ブット国際空港に駐機するパキスタン航空機(ブルームバーグ)
首都イスラマバード近郊にあるベナジル・ブット国際空港に駐機するパキスタン航空機(ブルームバーグ)【拡大】

 パキスタンは、いったん先送りされた国営パキスタン航空(PIA)の民営化論が再浮上した。同国のアジズ民営化相が、2018年7月以降とされる総選挙の前にPIAの売却を実現したいとの意向を示した。しかし、議会などからは慎重な意見が上がっている。現地紙エクスプレス・トリビューンなどが報じた。

 同国は、13年に国際通貨基金(IMF)から67億ドル(現レートで約7300億円)のデフォルト回避支援を受けた際、PIAを含む赤字国営企業68社の民営化を約束した。14年には、PIA民営化に向けた取り組みが開始され、26%の株式を民間企業に売却し、経営権を移譲することなどが決定した。

 しかし、ナショナル・フラッグ・キャリア(国を代表する航空会社)であるPIAの売却には反対の声も根強い。16年には労働組合によるストライキや抗議行動が激化し、政府は民営化の先送りに追い込まれた。

 この間にもPIAは、アラブ首長国連邦(UAE)のエティハド航空やエミレーツ航空などとの激しい競争でシェアを奪われるなど苦しい経営を続けている。現在までの累積赤字は、3260億パキスタン(P)ルピー(約3220億円)にまで膨らんでいるという。

 再び民営化への決意を示したアジズ民営化相だが、16年の先送りの際には経営権の移譲を事実上不可能にした法律も制定されており、実現には法改正が必要になる。また、アバシ首相の航空アドバイザーがPIA民営化の計画はないとするなど、政権内でも意見が割れているようだ。

 議会の委員会からは、民営化を強行して事態が混乱すれば、選挙後に発足する新政権に収拾を押しつけることになるとの意見も上がる。アジズ民営化相は、PIAを中核事業と周辺事業に分割し、中核事業を民営化すると意欲をみせているが、実現までに難航が予想される。(ニューデリー支局)