LAタイムズ、5億ドルで売却 トロンク、投資家スンシオン氏と合意

米カリフォルニア州にあるロサンゼルス・タイムズの本社ビル(AP)
米カリフォルニア州にあるロサンゼルス・タイムズの本社ビル(AP)【拡大】

 米メディア大手トロンクは傘下の米紙ロサンゼルス・タイムズを、米国の資産家、パトリック・スンシオン氏の投資会社ナント・キャピタルに5億ドル(約545億円)で売却することで合意したと発表した。

 トロンク傘下のサンディエゴ・ユニオン・トリビューンなども売却対象に含まれている。ナントは現金5億ドルを支払うほか、年金債務9000万ドルを引き継ぐ。

 トロンクは米国の有力メディアブランドを傘下に持ち、人口が集中する米三大都市圏(ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ)で事業を展開してきたが、ロサンゼルス・タイムズ売却は同社の国内戦略にとって後退を意味する。

 一方で、今回の合意を受け、トロンクが抱える問題が解決へと向かう可能性がある。シカゴ・トリビューン紙やニューヨーク・デーリー・ニューズ紙なども所有する同社は経営陣と組合の対立が表面化し、編集長の交代が相次ぐなど、混乱が続いていた。さらに、マイケル・フェロ会長とスンシオン氏の対立にも終止符が打たれる見通しだ。

 スンシオン氏率いるナントは2016年にトロンク(当時はトリビューン・パブリッシング)に7050万ドル規模の出資を行い、同業のガネットによる敵対的買収を阻止した。この際にスンシオン氏は取締役副会長に就任し、ナントはトロンクの株式の13%を取得した。

 しかしトロンクが昨年、取引規定違反を理由にスンシオン氏の取締役再任を否決したことをきっかけに、スンシオン氏とフェロ氏の対立が深まった。

 スンシオン氏は製薬会社2社を売却し、一財産を築いた。米プロバスケットボール(NBA)のロサンゼルス・レイカーズの一部株式も所有する。

 ロサンゼルス・タイムズは他の米有力紙同様、発行部数低迷と広告収入減少のあおりを受けてきた。米新聞業界では資産家による新聞事業再生の試みが相次いでいる。

 ネット通販大手アマゾン・コムのベゾス最高経営者(CEO)が13年にワシントン・ポスト紙を買収したのに続き、米資産家のジョン・ヘンリー氏が同年、米ニューヨーク・タイムズ傘下の地方紙、ボストン・グローブ紙の取得で合意した。

 7日の米株式市場で、トロンクの株価は一時37%高の24.74ドルと、日中ベースで14年7月以来の高値を付けた。(ブルームバーグ Gerry Smith)