米予算教書、議会は知らん顔 トランプ大統領、4.4兆ドル規模提出

12日に公表された2019会計年度の予算編成方針などを示す予算教書(ブルームバーグ)
12日に公表された2019会計年度の予算編成方針などを示す予算教書(ブルームバーグ)【拡大】

 トランプ米政権は12日、4兆4000億ドル(約478兆2360億円)規模の2019会計年度(18年10月~19年9月)予算教書を議会に提出した。予算教書は国防費と移民法執行費用を拡大する一方で、給付金など国内プログラムの縮小を求めている。しかし、独自の2年間の予算合意案を9日に通過させたばかりの議会は予算教書に盛られた要求のほとんどを無視する見込みだ。

 ◆財政赤字は倍増

 トランプ大統領は以前から無駄遣いだと指摘してきた環境、研究開発、外交プログラムの大幅縮小を議会に再び要求。国務省予算を27%、環境保護局(EPA)予算を25%、それぞれ縮小するほか、メディケア(高齢者向け医療保険制度)などのセーフティーネット・プログラムの削減も求めた。これらのプログラムの予算削減で捻出した分の一部は、メキシコ国境の壁建設や国防費拡大に充てる計画だ。

 国防総省予算は800億ドル(13%)増額とされた。給付金プログラムは10年間で1兆7000億ドル減らされ、そのうちメディケア予算は2370億ドル減額するとしている。

 予算教書の19年度の財政赤字額見通しは昨年からほぼ倍増の9840億ドル。10年間では計7兆1000億ドルの赤字で、国の債務は30兆ドル近くまで膨らむ見通しで、10年間で収支均衡させるという共和党の目標達成を断念した。この数字は議会が歳出削減も含め、トランプ大統領の全ての提案を受け入れ、米経済が少なくとも向こう10年間、景気下降に陥らないという仮定の下で算出された。

 議会を通過して成立した予算合意案は連邦政府支出を3000億ドル引き上げる内容で、国防費と非国防費が共に大幅に増える可能性がある。米行政管理予算局(OMB)のマルバニー局長は予算教書に添付された書簡で議会に対し、財政赤字の問題があるため、議会で合意したとはいえ国内プログラムの支出を増やすのではなく抑制するよう求めた。

 ただ議会がこの要請を無視するのはほぼ確実だ。議員らは既に新たな予算上限を満たす歳出法案に取り組んでおり、暫定予算が失効する3月23日深夜までにトランプ大統領に提示する計画だ。

 これまで共和党は予算教書で10年間での収支均衡を目指してきており、財政保守派は19年度の予算教書が収支均衡に達しないとしていることに失望するだろう。また、民主党にとっては国内プログラムの縮小は受け入れ難い。

 ◆インフラに2000億ドル

 トランプ大統領のインフラ計画は向こう10年間で2000億ドルの政府支出を呼び水に、州や地方自治体、民間セクターの公共事業投資を促すというものだ。トランプ政権は投資規模が最大1兆5000億ドルになると推定している。

 予算教書は大統領が特に力を入れる米移民法執行予算を大幅に引き上げるよう求めている。国境・移民の担当官を2750人新規雇用する費用7億8200万ドルと、不法移民の拘留費用27億ドルのほか、メキシコ国境の壁建設費用として向こう2年間に180億ドルを要求する。壁建設費用は、幼少期に親に連れられ米国に入国した不法移民の若者「ドリーマー」をめぐり議会で続く論争の重要なポイント。このほか本国送還プロセスの予算増も求めた。

 国防予算の増加幅は800億ドルと省庁の中で断然トップ。19年度に海軍の艦艇とボーイングの戦闘機「F/A-18E/Fスーパーホーネット」24機のほか、向こう10年間で110機のジェット機の購入などを求めた。(ブルームバーグ Justin Sink)