貴金属ETF、仮想通貨の影 需要の一部がシフト

防弾ケースに収められた金や銀などの貴金属のバー=1月30日、独ミュンヘンにある貴金属販売会社プロ・オーラムの施設(ブルームバーグ)
防弾ケースに収められた金や銀などの貴金属のバー=1月30日、独ミュンヘンにある貴金属販売会社プロ・オーラムの施設(ブルームバーグ)【拡大】

 地政学的な懸念から、この1年で上場投資信託(ETF)への需要が高まり、今後も旺盛な需要が続く見通しだ。安全資産を代替する金ETFの現物保有高は12%増と、プラチナや銀の増加ペースを上回った。ただし従来貴金属へ向かっていた需要の一部は、仮想通貨へシフトするだろう。

 ◆現物保有高12%増加

 2018年1月8日時点の金ETFの現物保有高は7170万オンスと、1年間で12%増加した。同期間に価格が11%上昇したことがドライバーとなった。しかし、地政学的リスクの高まりや英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)、トランプ政権下でのドル安も、安全資産とされる金の保有高の押し上げ要因と考えられる。金価格と、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)がフォローするETFの金保有高との過去5年間の相関は0.76だ。

 ETFの金保有から影響を受ける貴金属生産者としては、アグニコ・イーグル・マインズ、アングロゴールド・アシャンティ、バリック・ゴールド、ゴールド・フィールズ、ニューモント・マイニング、キンロス・ゴールド、ランドゴールド・リソーシズ、シバニェ・スティルウォーター、フリーポート・マクモラン、紫金鉱業集団、ゴールドコープが挙げられる。

 ◆2870万オンスが流出

 17年7月中旬以降、銀価格が5%上昇したにもかかわらず、2870万オンスの純資産が銀ETFから流出した。同年後半、ビットコインやリップルといった仮想通貨への関心の高まりで、通常であれば貴金属へと向かう投資家の需要がこれらの仮想通貨にシフトしたとみられる。しかし、手軽に取引できる上に費用も抑えられるETFを通じた銀保有高は6億5340万オンス(1月8日時点)と、1年前と比べれば0.2%増加している。同期の銀価格上昇率は3%だった。

 ETFの銀保有から影響を受ける銀生産者としては、フレスニーヨ、ヘクラ・マイニング、グレンコア、BHPビリトン、ポーランド銅公社(KGHM)、サウス32、ベダンタ・リソーシズ、パン・アメリカン・シルバー、ウィートン・プレシャス・メタルズ、シルバー・スタンダード・リソーシズおよびシルバーコープ・メタルズが挙げられる。

 プラチナ価格の下落を受け、プラチナ生産者への市場の投資意欲が減退した。株価が下がったこれらの銘柄への投資の好機かもしれない。1月8日時点のプラチナETFの現物保有高は247万オンスと、この1年で4.6%増加し、過去2年の最高である17年6月の254万オンスに届く勢いだ。昨年12月に価格が上向いたものの、1月8日のプラチナ価格は1オンス=968ドルと、1年で1.5%低下した。ピークだった11年の1906ドルからは49%下落している。

 ETFのプラチナ保有から影響を受ける大手プラチナ生産者としては、アングロ・アメリカン・プラチナ、ロンミン、シバニェ・スティルウォーター、インパラプラチナムホールディングス、ノーザム・プラチナ、ロイヤル・バフォケン・プラチナおよびジンプラッツ・ホールディングが挙げられる。(ブルームバーグ Tobias Nystedt)