不足一転、アルプスに豪雪 スキーヤー直撃 歓迎の声も

 アルプスのスキーリゾートがここ数年、悩まされてきたのは雪不足だった。あらわになった山肌はスキーヤーを失望させ、スキー場での休暇を諦める人もいた。だが今シーズンは一転、豪雪となり、幾つものリゾート地が多過ぎる雪への対応に追われた。

 スイス南部ツェルマットでは1月下旬、数千人のスキーヤーが3日間にわたり足止めされた。雪崩の危険から道路が閉鎖され、鉄道も止まったのだ。有名なマッターホルンの麓にあるツェルマットへの交通遮断は今シーズン2回目。

 ツェルマットの五つ星ホテル「オムニア」のマネジングディレクター、クリスチャン・エッカート氏は「過去4年間に必要だった雪が、1週間ほどで降り積もった」と話す。今シーズンは雪崩に苦しめられた1999年を連想させる状況で、1月30日時点での積雪量は1メートル35センチだった。

 オムニアでは、スイス人に加え英国とカナダからやって来た宿泊客53人に、普段なら1泊500~2500スイスフラン(約5万7600~28万8000円)の部屋を無料で提供。3日後、エッカート氏は宿泊客を避難させようと、ヘリコプターを1人当たり70フランで手配した。

 オーストリアやフランスからイタリアに至るアルプスの多くの地域で、降雪機をスキー場で使わずに済んでいるのはほぼ20年ぶりだ。1924年の冬季五輪が開かれた仏シャモニーでは、シーズン早めの時期としてはここ10年余りで最も雪が多い。

 昨シーズンはクリスマスから新年にかけて雪が不足し、ホテル側が子供たちが室内で遊べるよう応急策を講じたが、今シーズンの雪の量は道路の除雪作業が追い付かないほど。シャモニー観光局の広報担当、クレア・バーネット氏は「こんなに早い時期にこれほど雪が多い記憶はない」と語る。ジュネーブから車で1時間の同地に31年住む彼女によれば、自宅近くは年間で3メートルほどの積雪となるのに、今冬は既に2メートル積もっているという。

 ただ気温は平年に比べ高めだ。スイス気象当局によれば、ジュネーブでは1月としては過去最高の気温。気温がさらに上昇すれば、洪水の恐れもある。

 オーストリアのアルプス地方では1月下旬の降雪で、30カ所ほど道路や山道が閉鎖され、サンクトアントンとイシュグルのスキーリゾートの一部が孤立した。気象学者、アレクサンダー・オーリック氏によれば、同地方の西部の多くで平年の冬の積雪量を超える雪が今シーズンは既に降ってしまった。

 イシュグルの観光協会責任者アンドレアス・シュタイブル氏は「今シーズンの降雪のタイミングは理想以上だ」として大雪を歓迎。「シーズンが始まる3週間前の11月上旬に雪が降り始め、完璧なスタートとなった」と述べた。しかも、昨シーズンのようにクリスマス前に解けてもいない。(ブルームバーグ Andy Hoffman、Boris Groendahl)