インドネシア、17年の外国人客21%増 火山噴火で目標1500万人届かず

 インドネシアは、2017年の外国人旅行者が前年比21.9%増の1404万人と大幅に伸びたものの、政府目標の1500万人には届かなかった。現地紙ジャカルタ・グローブなどが報じた。

 インドネシア中央統計庁(BPS)は、国内屈指の観光地で外国人旅行者でにぎわうバリ島のアグン山噴火が目標未達の原因と分析している。アグン山は17年に入り火山活動が活発化し、9月には政府が噴火警報を発した。11月には噴火が発生して同島のングラライ国際空港が一時的に閉鎖されたほか、10キロ圏内に避難命令が出るなどした。

 バリ島での噴火を受け、外国人旅行者数は11月に前年同月比0.8%減の84万8641人と、15年12月以来の減少になった。12月には同5.8%減の90万2602人と減少幅が拡大した。BPSは、例年11、12月は繁忙期に当たるとし、噴火による旅行者減がなければ目標を達成していたとの見解を示した。

 観光省によると、アグン山の噴火による外国人旅行者のキャンセル件数は100万件に達したもようだ。また、国家防災庁は、噴火による国内観光業の経済損失額を9兆ルピア(約710億円)と推定している。

 インドネシアの外国人旅行者数は、07年の551万人から増加が続いており、16年には1000万人を超えて1152万人となった。政府は経済の成長エンジンとして観光業の振興に注力しており、18年は1700万人、19年は2000万人を目標としている。

 ただし、近隣国の年間外国人旅行者数をみると、マレーシアが約3000万人、タイが約3500万人となっており、インドネシアは域内の“観光先進国”に後れを取っている。巻き返しを図る同国政府は、バリ島のような観光地を増やすため、中央ジャワ州のボロブドゥールや北スマトラのトバ湖など10カ所で開発を進めている。

 10カ所の観光開発には、道路、港湾、空港、電力などのインフラに100億ドル(約1兆600億円)、観光施設に100億ドルの合計200億ドルの投資が必要とされる。現在までに政府が確保した資金は1割から2割程度とされており、民間からの投資誘致の手腕が問われている。(シンガポール支局)