韓国、健康保護理由に上訴へ WTOパネルでの日本の水産物輸入勧告

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 韓国政府は23日、福島など8県産の水産物の輸入禁止措置是正を世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)が勧告したことを受け、上訴する方針を決めたと発表した。今回の勧告によって「現行の輸入規制措置が解除されるわけではない」としており、紛争処理が終わるまでは禁輸措置を継続する方針だ。「国民の健康保護と安全のため」と強調した。

 これに対し、菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で「極めて遺憾だ」と批判。斎藤健農水相は「協定違反が認められたことを韓国は重く受け止めてほしい」と述べた。

 東京電力福島第1原発事故を受けて禁輸措置を実施している韓国政府は「放射能に汚染された食品がわれわれの食卓に上ることがないよう、全力を尽くす」とした。

 韓国の上訴方針の背景には、食の安全に敏感な国民感情がある。2008年の牛海綿状脳症(BSE)を理由とした米国産牛肉輸入制限解除の際には、大規模な抗議集会や街頭デモが実施された。

 制度上、パネルは裁判の「1審」に当たり、不服があれば「二審制」の下で60日以内に上訴できる。上訴を審理する上級委員会の判断は早くて夏ごろの見通し。(ソウル 共同)