中国年金制度、破綻の危機 労働人口減少と高齢化で財源枯渇 (1/3ページ)

 中国の指導部は債務拡大による景気の腰折れを阻止する政策に数年来、力を入れてきた。半面、年金不足が新たな大問題として浮上している。世界最大の人口を擁する中国の急速な高齢化は、現役世代の保険料負担で、もはや年金支給額を賄えない事態を意味し、政府は少なくとも2014年以降、その穴埋めを強いられてきた。

 不足額1兆2000億元

 中国財政省の直近のデータによれば、16年には、年金費用が11.6%増の2兆5800億元(約43兆6500億円)に膨らみ、政府による不足分の補填(ほてん)は4291億元に上った。中国は1990年代初めに現行の年金制度を立ち上げて以来、働く現役世代が払い込んだ保険料を年金受給世帯に充てる賦課方式を取ってきた。だが退職者数の増加に対し、労働人口は減少をたどり、保険料の受け入れ額と年金支給額の差は拡大している。

 中国社会科学院(CASS)傘下の財経戦略研究院(NAES)のワン・デホウ研究員によると、年金制度改革が行われなければ、不足額は今年6000億元、20年には8900億元に達するとみられる。政策担当者に年金問題を助言するエンオウドウ・エコノミクス(ロンドン)は昨年、年金の不足額が19年までに1兆2000億元へと急増する恐れがあると見通した。

 NAESのワン研究員は「中国最大の財政リスクは年金リスクだ。国庫からの多額の補助金なくして維持できないなら、年金制度に大きな問題がある」と警鐘を鳴らす。

手つかずの年金問題