【専欄】4年後の準備はいいか? ノンフィクション作家・青樹明子

 平昌五輪が、多くの感動を生みつつ閉幕した。期間中、世界中の人々の熱い思いが集中したが、日本と中国は格別である。なぜなら2年後に東京五輪、そして4年後は北京五輪が控えているからだ。中国のメディアも開幕式直後から、特集を組んだ。テーマは「カウントダウンが始まった。準備はいいか?」である。中国にとって、平昌五輪は“重要な学習の機会”であり“開催能力を高めるための重要な基地”だった。

 中国が特に注目したのは、開会式における聖火最終点火者と、参加国・開催種目の数である。中国中央テレビキャスターの白岩松さんは、番組内で「聖火を誰が灯すか、その人選によって開会式の成否が決まる」と述べている。

 聖火最終点火者はともかく、今から準備しなければいけないのは、4年後主催国としての選手団と参加種目の数である。

 平昌では、中国代表団は181人、内選手は82人だった。参加種目は55で初参加は10種目である。4年後にはこれを上回らなくてはならないが、問題は昨今ウインタースポーツ人口が減少していることだ。

 その昔、北京の子供たちにとって、冬の遊びといえばスケートだった。北海公園をはじめ、紫禁城の堀など、水のあるところすべては厚い氷が張り、天然のスケート場だった。スケートやそり遊びに興じる姿は、冬の風物詩だったのである。

 しかし温暖化の影響か、今では氷が薄くなり、使用を禁止する所が多い。雪も少ない。スキーがしたければ、離れた場所の人工スキー場へ出かけていく。都会の人たちは、一冬に一度行けばいい方だと言う。北京のウインタースポーツは衰退の危機にあるかのようだ。

 そこで北京市では、今後6年間で16の室内スケートリンク、50の屋外リンクの建設を計画している。これらの施設では16歳以下は無料とし、小中学校では、スキーやスケートを必修科目とする。各人、少なくとも1種類以上のウインタースポーツを習得させるのが目標だ。これにより、2022年までに、北京のウインタースポーツ産業の収入規模は400億元(約6800億円)になるとの展望を示す。

 北京だけではない。22年までに、中国全土で650のスケート場、800のスキー場の整備が計画されているようだ。それでも五輪の主役は選手である。近年豊かな時代に育った中国のアスリートたちは、かつての“国力を誇示する”といった気負いがない。純粋にスポーツを愛する選手たちが奏でる五輪は、元来国威発揚とは無縁である。