東京株急落 鉄鋼、海運など「売り」 円高進み、一時105円台後半

一時600円超下落した日経平均株価を示すボード=2日、東京都中央区
一時600円超下落した日経平均株価を示すボード=2日、東京都中央区【拡大】

 2日の東京市場はトランプ米大統領による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限の発動方針表明を受け、投資家がリスク回避姿勢を強めて株安・円高が進んだ。日経平均株価は3営業日続落し、終値は前日比542円83銭安の2万1181円64銭と約2週間ぶりの安値。円相場は日銀の黒田東彦総裁による「出口戦略」に関する発言も重なり、一時1ドル=105円台後半と約2週間ぶりの円高水準に急伸した。

 米通商政策の保護主義化や貿易摩擦の強まりへの懸念から、1日の米ダウ工業株30種平均は3営業日続落し、終値は前日比420ドル22セント安の2万4608ドル98セント。米国株の主要3指数はそろって下落した。2日の東京市場もこの流れを引き継いで、鉄鋼株や海運株などを中心に幅広い銘柄が売られ、平均株価の下げ幅は一時635円に達した。

 平均株価は、続落した2日までの3営業日で1208円失った。最大の要因は米国株安。ダウ平均は2月27日から3月1日まで3営業日連続で大幅下落し、この間に1100ドルはげ落ちた。最近の日本株は、米国株の値動きに連動した展開が続いている。

 2月27日に初の議会証言に臨んだ米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が米国の景気や物価上昇の先行きに一定の自信を示すと、利上げペース加速への警戒感が広がり、米国株はこれを嫌気して下落した。

 投資家心理が弱気に傾いていた中、1日のトランプ氏による輸入制限の発動方針表明が追い打ちをかけた。貿易摩擦が激化すれば世界景気に悪影響が生じるとの不安を背景に日本などにも株安が波及。2日は韓国や中国・上海、香港、台湾などアジアの株価指数が軒並み下落した。

 ダウ平均は2月上旬、米長期金利の急上昇を発端に1000ドル超の急落を2度起こし、金融市場は混乱。その後は、米国で「恐怖指数」と呼ぶVIX指数が不安心理の高い状態とされる20を下回るなど、落ち着きを取り戻しつつあったが、再び米国発の要因で波乱含みの様相を呈してきた。VIX指数も1日には6営業日ぶりに20を上回った。

 みずほ証券の倉持靖彦投資情報部部長は「金融市場は、4月上旬ごろまでは変動率の高い状態が続くのでは」と話した。