ECB総裁、続く慎重運営 トリプルショックが政策正当化

8日に政策委員会を控えるECBのドラギ総裁は「安全第一」が求められる(AP)
8日に政策委員会を控えるECBのドラギ総裁は「安全第一」が求められる(AP)【拡大】

 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は8日に開く政策委員会を控えて、今後の金融政策について安全第一となることを正当化するトリプルショックに見舞われた。

 トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムへの高率関税適用を表明し、国際貿易戦争の不安が高まる一方、ユーロ圏有数の経済大国で高債務国であるイタリアの総選挙で、反既成勢力を掲げる政党が台頭し、イタリアの政治情勢の先行き不透明感が強まった。さらに、上向き傾向にあったユーロ圏の景気がスピードバンプ(減速帯)に乗り上げている可能性を示す兆しもみられるからだ。

 ドラギ総裁はこれまでも、政策担当者は忍耐強く刺激策を続ける必要があると繰り返し述べてきており、政策委の開催を前にして重なった悪いニュースに対しては、ドラギ総裁の姿勢はその論拠を強める方向に働くことになる。

 また、資産購入の終了が近いと示唆する方向へのガイダンス(金融政策の先行きを示す指針)に対して変更を強く求める政策委メンバーは、勢いをそがれるかもしれない。

 ロンドンのマーサーで資産アロケーション責任者を務めるルパート・ワトソン氏は「それが政治的なものであれ経済的なものであれ、いかなる種類のショックが起きても、ECBがハト派過ぎて失敗するくらい慎重に対応する期間がさらに1年程度続くだろう。ドラギ総裁は100%その必要がなくなるまで金融刺激策を継続すると非常にはっきり述べている」と指摘した。

 ABNアムロのエコノミストのニック・コウニス氏も「ドラギ総裁はいかなる変更も急いでいない。コミュニケーションの重要な修正を現時点で行えば、混乱を招きかねず、テーパリング(量的金融緩和の縮小)の準備が整うまで待つ方がよいだろう」と分析した。(ブルームバーグ Piotr Skolimowski)