日本勢、米国債は蚊帳の外 投資家、リターン0.6%では魅力なし

世界の主要市場の値動きを示す証券会社のモニター。日本の機関投資家の動きが米国債の相場に影響しそうだ=東京都内(ブルームバーグ)
世界の主要市場の値動きを示す証券会社のモニター。日本の機関投資家の動きが米国債の相場に影響しそうだ=東京都内(ブルームバーグ)【拡大】

 米国債に厳しい時期が再び訪れた。インフレ懸念と財政支出拡大の組み合わせだけが問題ではない。第3の痛みの元となる外部要因が存在する。それは日本だ。

 米国債を保有する日本勢は、利回り上昇と持続的なドル安のダブルパンチを受け、つらい思いをしている。最近の資金フローのデータでは、日本勢は十分な額を保有しているように見えるが、2月の第2週は今年に入り週間ベースで初の売り越し(8660億円相当)となったもようだ。

 日本は3月末が年度末に当たり、エクスポージャー(リスク資産)圧縮や損失の出ている取引の解消が通常行われるため、米国債の困難な状況に追い打ちをかけることになりかねない。

 4月に新年度が始まれば新たな買いが入るのが一般的であり、日本国内で極端に低い利回りしか得られないことを考えると、まずまずのリターンを求めて海外に目を向けたいと考える誘惑は引き続き存在する。米国債が伝統的に最も人気のある投資先だったのは確かだ。しかし、2018年については多くの日本マネーが米国に戻る可能性は恐らく低い。

 これまでと何が変わったかといえば、それはドル相場だ。米金融当局が利上げサイクルに入り、ドル資産エクスポージャーの為替リスクをヘッジするコストが高騰したこともあって、日本の投資家は傾向として米国債保有のリスクヘッジを行ってこなかった。ドル資産を円に戻す際の為替差損のリスクをヘッジする3カ月間のコストは、3年前の0.25%から2.2%余りに上昇した。

 円建ての投資家が米国の10年国債に投資する場合、為替リスクのヘッジコストを差し引いたリターンは0.6%にすぎない。これは日本の20年国債利回りに近く、為替リスクを取らない限り、海外投資の努力にほとんど値しないことを意味している。

 これまでしばらくの間は、うまく運んだ。だが最近のドル安が米国債のリターンを完全に消し去っており、日本の米国債保有者は今や丸損のリスクに直面している。

 これに対し、フランスの10年国債の為替リスクヘッジ後のリターンは約1.2%と、日本の20年国債利回りの倍の水準だ。つまり、日本の投資家にとって、為替リスクのヘッジがあってもなくてもドル債を保有するよりは、為替リスクをヘッジして欧州債を持つ方が魅力的というわけだ。

 4月の新年度開始に伴い、日本勢が欧州債に殺到し始めることは十分あり得る。そうなれば、米国債が蚊帳の外に置かれる可能性は高いのではないか。(ブルームバーグ Marcus Ashworth)

 (本稿の内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません)