【新生黒田日銀始動へ(上)】決め打ちだった「現状維持」 財務省「本田総裁」説リークか (1/3ページ)

日銀の黒田東彦総裁=6日午後、国会・参院第8委員会室(斎藤良雄撮影)
日銀の黒田東彦総裁=6日午後、国会・参院第8委員会室(斎藤良雄撮影)【拡大】

 「黒田総裁は消費税増税に賛成した緊縮財政派ですよ?」

 昨年11月24日の昼、駐スイス大使の本田悦朗は内閣官房参与の浜田宏一とともに首相官邸に駆け込んだ。首相の安倍晋三の前で、約4カ月後に任期が切れる日銀総裁の黒田東彦を再任しないように訴えたのだ。本田自身も日銀総裁候補に名が挙がっていただけに、「なぜ、この時期に官邸を訪れたのか」と眉をひそめる政権関係者もいた。

 大方の予想通り、黒田再任で落ち着いた日銀の新総裁人事。だが、その裏側では、秋の自民党総裁選と来年10月に迫った消費税増税をめぐる政権内部の暗闘があった。本田の直訴は平成26年4月の増税をごり押しした財務省に対する安倍の不信感に訴えかけ、人事を覆そうとする思惑があったとの指摘がある。

 安倍政権にとって、消費税増税は鬼門だ。8%への引き上げ後、個人消費は大幅に落ち込み、1.5%まで回復した物価上昇率は再び0%台に沈んだ。「黒田日銀」が掲げた上昇率2%目標の実現は6度にわたって先延ばしになった。

 消費税増税もその後2度延期されたが、3度目を阻止しようとする財務省の抵抗は強い。安倍の経済政策ブレーンの一人である嘉悦大教授の高橋洋一は「首相が消費税増税をしないといえば、それを“奇貨”として、麻生太郎財務相が総裁選に打って出る可能性がある」と指摘する。