米輸入制限、産業界に災難 供給状況の変化、便乗値上げや消費減退にも

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 米国の鉄鋼とアルミニウムの輸入制限に日本政府、産業界は警戒感を強めている。輸出減は限定的とみられるが、製品市況の変動による悪影響が懸念されるためだ。また鋼材の値上がりは米国内の自動車販売を下押しする可能性もあり、米国経済の逆風になりかねない。

 世耕弘成経済産業相は9日の会見で「極めて遺憾」とし、「(日本の)対象除外を米国に働きかけたい」と強調した。

 他国企業には作れない高品位の製品を手掛ける日本の鉄鋼業界には、高関税を課されても米国への輸出が減ることはほとんどないとみる。しかし、他国の米国輸出向け鋼材が米国外に向かうことは市場の波乱要因だ。新日鉄住金の進藤孝生社長は「供給過剰で、国際市況が値崩れする。そうなれば、鉄鋼各社の収益が悪化する」と指摘する。

 一方、米国に工場を持つ日本の自動車各社は輸入鋼材の価格上昇に加え、米国産の便乗値上げの余波を受ける恐れがある。JPモルガン証券は現地生産向けの全製品で関税が上がればトヨタ自動車で約500億円、ホンダで467億円、営業利益が減ると試算する。

 また米自動車各社が鋼材価格上昇を受けて新車価格を上げれば、販売に冷や水をかけ、米国の消費減退を招くとの見方もある。日本商工会議所の三村明夫会頭は「今回の措置は米国経済のためにもならない」と米側に再考を求めている。