【マネー講座】《債券入門》(1)〈債券とは〉資金を借りた証拠として発行 (1/4ページ)

 株式や外国為替とくらべて、債券はニュースなどであまり報道されないため、親近感がわきにくい金融商品かもしれません。ではなぜ債券について知る必要があるのでしょうか。

 一般的に資産形成は、将来仕事を引退した時に備えるために行います。貯蓄や投資は、あたかも「現在の自分から未来の自分への送金」のようなものです。その「送金手段」としては、預金や株式、外貨資産など、様々な特性を持つ金融商品があります。債券は、預金や株式とは異なる特性を持っているため、債券について知ることで、未来の自分への「送金手段」の選択の幅を増やすことに役立つはずです。これから債券の基礎知識を説明して参りますので、よろしくお付き合いください。(三井住友信託銀行 瀬良礼子)

債券は借り入れの証拠となる証券

 そもそも「債券」とは、国や企業が、投資家から資金を借り入れた証拠の「借用証書」として発行された証券です。かつては紙の証券が発行されていましたが、現在では大半の債券は電子化されています。債券は、主に国や地方自治体など(公)と企業(社)が発行するので、「公社債」とも呼ばれます。

 債券は、企業などが長期の資金を調達するときに発行されます。例えば、製造業の企業は、資金を調達して生産設備を作り、製品の製造を開始して販売して、利益を上げます。調達した資金を返済するのに必要な利益を上げるには、それなりの長い時間がかかります。

 そのため、長期資金を円滑に調達できる市場があると、企業などが経済活動を行うのに役立ちます。

債券には多くの種類がある