【専欄】「ものづくり」の実力はいかに? 拓殖大学名誉教授・藤村幸義 (1/2ページ)

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 中国指導部は経済の量から質への転換を重視し、とりわけ「創新」(イノベーション)の活発化を促す政策を相次いで打ち出している。それに伴って研究機関や企業の研究・開発能力の向上、起業の推進などの面で、これまでにない成果を挙げつつあるのは確かである。だが、こうした動きは、日本が得意としてきた「ものづくり」と同じ方向を目指しているのか、それとも異質なものなのだろうか。

 この数年、深センなどの都市で「衆創空間」と呼ばれる「ものづくり」のプラットフォーム が数多く設立され、ベンチャー企業による「ものづくり」の活動を積極的に支援している。日本にも同じような「衆創空間」がないわけではないが、規模において全くかなわない。

 深セン市は1980年に経済特区に選ばれて以来、製造業の街として目覚ましい発展を遂げてきた。多くの外資系企業もここに進出してきた。ところが賃金の上昇によって、旧来型の加工産業は衰退していき、外資系企業の撤退も相次いだ。それに代わって登場してきたのが、ベンチャー企業である。同市は「深セン市促進創客発展三年行動計画(2015~17年)」を策定し、「衆創空間」の新設など、市ぐるみで「ものづくり」の推進に意欲をみせている。

 企業価値が10億ドル(約1070億円)を超える非上場のベンチャー企業「ユニコーン」の数においても、中国企業の増加が目立っている。17年9月末現在で、米国108社、中国57社、インド10社と米国に次いで多い。

日本の「ものづくり」とはやや異なる