20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は20日、共同声明を採択して閉幕した。焦点の貿易問題については「保護主義と闘う」とした昨年7月の首脳合意を「再確認する」としたうえで、「さらなる対話と行動が必要」との文言を追加。保護主義的な姿勢を強める米国を牽制した。仮想通貨がテロ資金の温床となる恐れがあるとして、悪用の防止に向け国際組織に監視を要請した。
今回のG20では、トランプ米政権による鉄鋼・アルミニウムの輸入制限実施が23日に迫る中、多数の参加国が保護主義的な貿易政策への懸念を表明。木原稔財務副大臣は閉幕後の記者会見で貿易問題に「相当な時間が割かれた」と述べた。
共同声明では、関係国の対話促進や摩擦回避に向けた行動を迫り、報復の連鎖を招く「貿易戦争」の回避を求めた。これに対し、ムニューシン米財務長官は、閉幕後の記者会見で「保護主義ではなく、不公正な貿易慣行に対応したものだ」と述べ、正当性を訴えた。
G20では仮想通貨の規制を初めて議論。マネーロンダリング(資金洗浄)などへの悪用を防ぐため国際的な規制が必要だとの認識で一致した。共同声明では仮想通貨を「暗号資産」と表現した上で、交換業者への登録制導入などを提言した国際組織の金融活動作業部会(FATF)が策定した基準を各国が採用するよう後押しした。