【米中貿易戦争】日本のGDP、1・4%程度押し下げとの試算も 輸出減、円高…

記者会見する中国の朱光耀財政次官=4日、北京(共同)
記者会見する中国の朱光耀財政次官=4日、北京(共同)【拡大】

  • 記者会見する中国の朱光耀財政次官=4日、北京(ロイター)
  • 北京で開かれた、米国との貿易摩擦に関する中国財政次官らの記者会見=4日(共同)
  • 北京で記者会見する中国の朱光耀財政次官(中央)と王受文商務次官(右)=4日(共同)
  • 米国との貿易摩擦について記者会見する中国の朱光耀財政次官=4日、北京(共同)
  • 米国との貿易摩擦について記者会見を行った中国の朱光耀財政次官=4日、北京(共同)

 米通商代表部(USTR)が3日、中国に対する制裁関税の対象品リストの原案を公表し、中国が対抗措置を発表したことで、「貿易戦争」の懸念が強まってきた。貿易量の減少は世界経済の停滞につながり、円高の影響も加わる日本の輸出は大きな打撃を受ける。民間からは、日本の国内総生産(GDP)が1・4%程度、押し下げられるとの試算も出ている。

 経済協力開発機構(OECD)によると、米国が共同歩調を求める欧州連合(EU)も関税引き上げに踏み切り、米中欧の貿易コストが10%高まった場合、世界の貿易量は6%、世界のGDPは1・4%押し下げられる。主要国が同時成長を遂げた世界経済は、腰折れの危機に立たされることになる。

 日本経済への影響はさらに大きく、第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「米中欧が関税を引き上げた場合で2・1%、米中だけでも1・4%程度、GDPが押し下げられる」と試算する。

 日本からの主要輸出品は米国向けが自動車や関連部品、中国向けがスマートフォン向けの電子部品。貿易減で米中景気が後退すれば真っ先に耐久消費財が買われなくなるため、日本からの輸出は大きく減る。

 また市場のリスク回避姿勢が強まり、安全資産とされる円が買われれば、足元で1ドル=106円台の円相場が「100円を切る水準まで円高が進むかもしれない」(永浜氏)。日本製品は割高となるため輸出が落ちると同時に、株安が日本国内の消費や投資意欲の減退につながる恐れもある。

 民間予測では、平成30年度の日本の実質GDP成長率は、おおむね1・2~1・3%程度だ。しかし、貿易戦争が拡大すれば、「最悪の場合、マイナス成長に落ち込む」(永浜氏)ことにもなりかねない。

(山口暢彦)