激化する「米中貿易戦争」の裏で続く神経戦 衝突回避に相手の腹の探りあい (2/3ページ)

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 一方の米国も事情は同じだ。今回の中国に対する制裁措置が、11月の中間選挙をにらんだトランプ大統領の「選挙対策」だとしても、得る利益より失う代償の方が大きい恐れもある。

 米IT業界団体の情報技術産業協議会(ITI)は3日、中国への追加関税に関して声明を発表し、「製品価格を上昇させ、米国の消費者を不利にすることになる」と指摘。関税ではなく、他国との協調によって中国に問題への対処を迫るべきだと訴えた。

 米調査機関の情報技術イノベーション財団(ITIF)は3日、「中国政府による通商政策の乱用を押し返そうとするトランプ政権は正しい」との声明を出したが、関税適用には反対とした。製品の製造に不可欠な工作機械などの調達価格が上昇し、企業の設備投資意欲が減退する可能性があるとの懸念を示す。

 米通商代表部(USTR)が3日に公表した追加関税を課す製品のリスト案には、中国側への一定の配慮も垣間見える。中国が産業政策で重点分野に掲げるハイテク製品を狙った一方、アップルなどの米ブランド向けに供給されるスマートフォンやノート型パソコンなどは除外した。中国の主要輸出品となる靴や衣類も盛り込まれていない。

昨年輸出の実績がない品目も掲載