【専欄】米、鉄鋼追加関税の真意は 拓殖大学名誉教授・藤村幸義 (1/2ページ)

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 トランプ米大統領が鉄鋼・アルミに追加関税を発動した。さらに中国に対しては、他の多くの産品にも高関税を掛ける方針を発表している。だがどうしても腑に落ちないのは、鉄鋼については、これまでの中国側の対応措置によって対米輸出が大幅に減ってきていることである。にもかかわらず、なぜトランプ大統領は追加関税の発動に踏み切ったのだろうか。

 中国の世界への鉄鋼輸出のピークは2015年で、合計1億1200万トンだった。世界の輸出全体において2割近くを占めていた。国内の余剰な製品が一斉に海外に向けて輸出されていったのは確かである。

 だがこの時点でも輸出の3割が東南アジアで、次いで欧州連合(EU)、韓国、中東が多かった。米国が輸出全体に占める割合はわずか数%だけだった。

 16年になると、鉄鋼をめぐる市場の様子は一変してくる。中国政府は余剰在庫の削減に取り組む方針を打ち出す。実際に同年、17年の2年間で1億トン余りの古い設備を淘汰(とうた)した。

 さらに政府が経済成長率を維持しようと、積極的な財政支出を行ったため、鉄道や道路などのインフラ需要が急増する。鉄鋼業者は、輸出するよりも国内で売る方がもうかるようになったのをみて、内需重視に転換してくる。

 輸出は16年に1億800万トンに減り、さらに17年には一挙に7543万トン(前年比30.5%減)まで減少した。

 17年の対米輸出はわずか118万トンである。10年前に比べると8割近くも減っている。輸出先のランキングをみても、10年前の2位から17年には18位にまで下がっている。

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