【地域資源を生かす】「原子力発祥の地」で人材育成 東海村、産学官で科学研究の中心地目指す (3/5ページ)

日本原子力発電東海総合研修センターで原子力設備で使われるポンプのメンテナンスについて話を聞く学生=2016年9月2日、茨城県東海村
日本原子力発電東海総合研修センターで原子力設備で使われるポンプのメンテナンスについて話を聞く学生=2016年9月2日、茨城県東海村【拡大】

  • 「原子力人材育成・確保協議会」に参加する東興機械工業で、マイクロメーターやノギスを使って設備のメンテナンスに必要な測定技術を体験する学生=2017年9月8日、茨城県東海村

 だからこそ東海村は主要産業を支える各社の共通課題である人材不足の解消を支援。同時に「地元で働くメリット、つまり子育てに優しいといった村の魅力を発信。教育予算や施設などが充実する『TOKAI』をアピール」(村長公室まちづくり推進課の大道雄治課長)。若者に就職・定住を呼びかけ、持続可能なまちづくりにつなげたい考えだ。

 しかし原発事故で原子力産業へのイメージが悪化、親の反対などで就職をためらう高校生は少なくない。村内の日本原子力発電東海発電所は廃炉作業中で、同第2発電所は運転停止が続く。このままでは高度な技術を持つ50代の熟練工が若手に技術を伝えることなく退職期を迎えてしまう。

 技術伝承には経験

 東海・同第2発電所の仲田拓士副所長は「現場には今のところ、昔から顔なじみで『発電所の主』的なベテランから中堅まで各社健在なので不安はない」と冷静だ。だが将来を考えると「何事も経験なので技術伝承が心配」と東海総合研修センターの藤田幹雄副所長は指摘する。

 協議会は設立以来、高専・大学生向けと高校生向けの原子力産業インターンシップを16年度に2回、17年度に6回開催した。初年度は「見せるところがない」と企業見学に消極的だった会員も今では就労体験やワークショップなどで学生と活発に交流。夜の懇談会では社長や若手技術者が熱く語るようになった。

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