日中、米中の貿易摩擦で接近も深い溝 知財侵害、鉄鋼過剰生産で通商政策を問題視 (1/2ページ)

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 日中両政府が「日中ハイレベル経済対話」を約8年ぶりに開催した背景には、米中の貿易摩擦の激化がある。今回の経済対話では、多国間の枠組みと一線を画すトランプ米政権を念頭に、日中は世界貿易機関(WTO)を中心とする多角的貿易体制の重要性について確認した。ただ、日本は知的財産の侵害や鉄鋼の過剰生産などで中国の通商政策を問題視しており、日中の溝も深い。

 「もっと早い実現を期待していたのだが…」。外務省関係者は、日中ハイレベル経済対話が約8年間も開かれなかったことに、ため息をもらす。

 経済対話は2007年12月に第1回を開催。その後も、09年6月、10年8月とコンスタントに開いてきた。だが、その後は沖縄県・尖閣諸島周辺での中国公船の領海侵入などで日中関係が冷え込み、中国の反日デモの影響もあって開催できない状況が続いた。

 中国の姿勢が変わったのは、トランプ米大統領の誕生からだ。トランプ氏は対中赤字の削減を目指し、中国製品に高関税を課す制裁措置を決定。中国も対米報復関税を発動して関係がこじれる中、中国は日本との関係改善を模索し、王毅外相の訪日に合わせた経済対話を日本側に働き掛けた。

 日本側も中国との経済対話で「自由貿易体制の維持の重要性を話し合う」(外務省関係者)ことで、保護主義的な動きを強めるトランプ氏を牽制(けんせい)できるとの思惑が透ける。

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