輸入制限で鉄鋼価格上昇、貿易摩擦に懸念 米FRB景況報告

 【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)は18日に公表した地区連銀の景況報告(ベージュブック)で、3月~4月上旬の米景気は「緩やかな拡大が続いた」との判断を示した。ただ、米政権が発動した関税措置で鉄鋼価格が上昇し、製造業や農業、運輸などの幅広い業界で、貿易摩擦への懸念が浮上していると指摘した。

 トランプ米政権が3月下旬に鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動し、報告は鉄鋼価格が関税の影響で上昇したと指摘。「今後も一段と値上がりすると予想している」(リッチモンド連銀)との声も寄せられた。

 米政権は知的財産侵害に関する対中制裁案も公表。中国が米国の農産物に報復措置を講じる方針を示すなど、米中の応酬が続いている。そのため、地区連銀からは「農業生産者が神経をとがらせている」(ダラス連銀)との報告もあった。

 米経済は幅広い分野で好調を維持し、雇用拡大が続く。報告は物価が「緩やかに上昇している」と総括。鉄鋼や木材などの建材を中心に「企業が今後数カ月、一段と物価が上昇すると予想している」とした。報告は5月1~2日の次回連邦公開市場委員会(FOMC)の討議資料になる。