【マネー講座】《債券入門》(4)〈長期金利の変動要因〉景気・物価がカギに (2/5ページ)

 逆に、物価上昇率が低くなると、企業や家計はモノの購入を急がず、資金調達が増えないので、金利には低下圧力がかかります。

 投資家の立場では、債券での資金運用がモノの価格に割り勝つと考え、債券保有を増やしたくなるので、債券価格が上昇、つまり、債券利回り(金利)が低下します。物価が持続的に下落するデフレ期を思い起こすとわかりやすいでしょう。たとえ長期金利が0%でも、物価が長期的に下落するとの予想の下では、資金運用の魅力が勝ることになります。

 なお、「好景気と物価上昇率加速」、あるいは、「不況と物価上昇率減速・物価下落」は、必ずしも同じ組み合わせとなるわけではありません。経済環境によっては、「不況と物価上昇率加速」が同時に発生する場合もあります(スタグフレーションともいいます)。

中央銀行の金融政策の影響と人々の予想・期待

 中央銀行は、景気過熱や物価高騰を抑制したいときに政策金利を引き上げ(金融引き締め)、逆に、景気を上向け物価を押し上げたいときには政策金利を引き下げます(金融緩和)。

 しかし、中央銀行が設定する政策金利は通常、「翌日物金利」と呼ばれる1日物の金利を対象としています。そのため、短期金利には強く影響しますが、金利の期間が長くなればなるほど影響度は小さくなります。

 例えば、景気拡大期が終盤に入り、中央銀行の利上げ局面終了が視野に入ってくると、利上げで短期金利は上昇しても、長期金利は将来の利下げの可能性を織り込んで低下する、といった事態も起こります。

 なお、2018年4月現在、日本銀行は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という金融緩和の枠組みを採用しています。この枠組みの下で日銀は、長期金利(10年物国債金利)を0%程度にするよう長期国債を買い入れています。そのため、金融政策の影響が通常よりもより長期の金利に及んでいます。

 ここで、10年物金利などの長期金利は、現在の翌日物金利を出発点として、10年分の翌日物金利の「予想」が積み重なったものと考えてみましょう。中央銀行の金融政策は短期金利に強く影響しますが、5年・10年・20年と、予想の期間が長くなると、景気・物価の状況が変わり、金融政策も変化します。長期間の翌日物金利予想には、短期と比べて不確かさが増します。

為替レートや海外金利にも目配り