最後に、日本の長期金利の今後を見通す上での注目点を述べたいと思います。
最も重要なのは、日銀の金融政策です。前述したように、日銀の長短金利操作により、長期金利は0%近くに止まったままですが、物価上昇率が目標の2%を達成できると確信すれば、長期金利の目標を引き上げるでしょう。2019年10月の消費増税の影響が薄れ、日本経済の真の実力が見える2020年10月以降がタイミングとして注目されます。
以上で「債券入門」は終了です。投資対象としての債券の基礎知識だけでなく、住宅ローンなどの借り入れ金利に影響する長期金利の変動についてもあらましをご理解いただけたのではないでしょうか。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
(※マネー講座は随時更新。次回から「もらう相続」をテーマに掲載します)
【プロフィル】瀬良礼子(せら・あやこ)
三井住友信託銀行マーケット企画部
マーケット・ストラテジスト
1996年より自己勘定の運用企画を担当。以後、現在にいたるまで、為替・金利を中心にマーケット分析に従事。マーケット企画部で手掛けた「投資家のためのマーケット予測ハンドブック(NHK出版)」、「60歳までに知っておきたい金融マーケットのしくみ(NHK出版)」の執筆スタッフの一人でもある。