愚直に求心力を高めるマニフェスト 今年の「ミラノサローネ」で確信したこと (1/3ページ)

ミラノサローネ会場でのビトッシの展示
ミラノサローネ会場でのビトッシの展示【拡大】

  • トリエンナーレ美術館でのマルティネッリ・ルーチェの展示

【安西洋之のローカリゼーションマップ】

 国際家具見本市であるミラノサローネが4月22日に終了した。6日間で43万人以上が訪れたという。前年比26%の増加である。

 例年、出展社のおよそ70%がイタリア企業で、入場者の約70%が海外からの訪問者だ(新興国からの訪問客の数の伸びが著しいのが近年の特徴)。同時にミラノ市内で開催されたインテリアデザイン・各種工業デザインの無数ともいえる展示・イベントへの見学者は、この入場者の倍近くはいるだろう。 

 さて開幕日から2カ月以上前の2月7日、ボッコーニ大学のホールで開催されたミラノサローネの記者発表に参加した。そこで発表されたマニフェストには9つのキーワードが並んでいた。

 (街や関係者を巻き込む)「感動」、(質の高い生産を生むインフラとしての)「企業」、(持続可能な)「品質」、(未来を見据えた)「プロジェクト」、(分野を超えた)「ネットワーク」、(ダイナミックなミラノを享受する)「若者たち」、(情報を広める)「コミュニケーション」、(デザインを提案すべき)「文化」、(街が一体化する)「ミラノ」。

 耳にたこができるほど聞いてきた言葉ではないか、と正直退屈なマニフェストにみえた。威勢のよいソーシャルデザインを大きな声で叫べばいいわけではないが、あまりにありきたり過ぎないか。驚きがない。

 その感想を会場にいたイタリア人ジャーナリストに話したら、彼女もまったく同じ意見だった。そうしたらフランス人のジャーナリストが、このマニフェストを高く評価している、と間接的に耳にした。その瞬間、ぼくは思った。愚直ともいえる変わらぬところが逆に新鮮なのか、と。

ある程度の「枠」は必要だ