「外国人宿泊」1.98泊→3泊に、京都市が計画を上方修正 混雑やマナー悪化の方策も

 京都市は16日、平成26年に策定した「観光振興計画2020」における外国人観光客の平均宿泊日数の目標を1.98泊から3泊に引き上げると発表した。同時に、外国人の急増に伴う混雑やマナーの悪化が問題となっていることから、市民生活との調和に向けた方策も盛り込んだ。

 市内では28年、外国人宿泊客数が318万人(目標300万人)、観光消費額が1兆862億円(同1兆円)となり、同計画で掲げた目標を4~5年前倒しで達成した。

 ビザ発給要件の緩和や格安航空会社(LCC)の相次ぐ就航などを受け全国的に訪日外国人が増えたことが背景にあるが、市は通訳ガイドの導入など地道な取り組みが成果につながったとしている。

 市は観光消費額の目標を上積みして1兆3千億円とすることも決定。宿泊日数の引き上げは日帰りよりも滞在型の観光を促し、観光消費額の上乗せは、経済波及効果の高い飲食費やさまざまな体験費用などで底上げする。

 一方で、外国人の急増に伴い混雑やマナーの悪化、無許可民泊などの課題も表面化している。そこで、市民生活と観光振興との調和を最優先課題とし、観光地における混雑緩和や外国人のマナー啓発など新たな27事業を同計画に盛り込んだ。具体的には、市域中心部だけでなく山科、伏見両区など観光客が少ない地域へ誘客し、携帯電話位置情報などのビッグデータを活用して観光地の混雑状況をリアルタイムで発信し、混雑の分散化を図るという。

 市の観光振興計画2020は、東京五輪・パラリンピックの平成32年度を達成年度として策定された。