アジアに拠点置くプライベートバンク 人材採用より収益改善課題

シンガポールのビジネス街にあるスタンダードチャータードの店舗(ブルームバーグ)
シンガポールのビジネス街にあるスタンダードチャータードの店舗(ブルームバーグ)【拡大】

 アジアに拠点を置く大手プライベートバンクは何年も、域内で億万長者が増えるペースに合わせるかのように人材採用を増やしてきた。しかし、今は収益性の改善が課題だ。

 アジアの富裕層顧客の相手をするリレーションシップマネジャーが管理する資産は増え、アジアン・プライベート・バンカーによると、昨年はマネジャー1人当たり平均3億4100万ドル(約370億円)と過去最高を更新した。番付トップはゴールドマン・サックス・グループで、同行のプライベートバンカーが扱う資産は平均の3倍近い10億ドル弱だった。

 アジアの億万長者は今や人数で北米を上回っており、こうした富裕層の拡大が増え続ける資産に一部反映されている。だが、プライベートバンク運営には、法順守のコスト増大と人材の層が薄い現状など、厳しい現実が立ちはだかる。

 コンサルティング会社スコーピオ・パートナーシップのディレクター、ショーン・カン氏は「資産の水準が上がったものの、リレーションシップマネジャーの人数が限られていることを全ての銀行が認識し始めている」と述べた。同社のデータによると、アジアでは投資可能資産が100万ドル以上の個人がプライバートバンカーの3倍のペースで増えている。銀行側はコストを「削って、一段と効率的になる必要がある」と同氏は付け加えた。

 アジアン・プライベート・バンカーのデータによると、中国本土を除くアジアの富裕層資産を管理する大手20行は人材を15年から昨年末までに12%増やして5843人とした。しかし、人材を増やせば目標を達成できるわけではないと一部の銀行は認識するようになったと、キャップジェミニ・ファイナンシャル・サービシズのアジア・ウェルスマネジメント責任者のデービッド・ウィルソン氏は指摘。「収益性がプライベートバンクがアジアで苦しむ課題だ」と語った。

 このため、スタンダードチャータードやオーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)のプライベートバンク部門であるバンク・オブ・シンガポールは、富裕層に求める資産の最低額を引き上げつつある。ゴールドマン・サックスでは、リレーションシップマネジャーの人数が昨年は3.3%減って88人となったにもかかわらず、各自が扱う資産が29%増えて9億8860万ドルになった。

 バンク・オブ・シンガポールは16年にシンガポールと香港でバークレイズのウェルスマネジメント事業を取得した。バーレン・シャーリ最高経営責任者(CEO)によると、リレーションシップマネジャー1人当たりの資産を5億ドルに倍増させることで生産性を上げる計画で、人工知能(AI)やロボティクス技術も活用する予定。顧客に求める最低資産水準も200万ドルから500万ドルに引き上げるという。(ブルームバーグ Chanyaporn Chanjaroen)