TPP承認案が衆院通過 早期発効に前進 米牽制へ

TPP新協定の承認案が衆院本会議で可決した=18日午後、国会(春名中撮影)
TPP新協定の承認案が衆院本会議で可決した=18日午後、国会(春名中撮影)【拡大】

 米国を除く11カ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の承認案が18日、衆院本会議で与党などの賛成多数により可決、早期発効に向けて前進した。政府は今国会で国内手続きを終えることで早期発効の機運を高め、自国が有利になるよう強硬姿勢を強めるトランプ米政権を牽制(けんせい)しつつ、米復帰の道筋を付けたい考えだ。

 憲法の規定で承認案は衆院通過後30日たつと自然成立するため、6月20日までの今国会での承認が確実になった。

 ただ、参加国への手続き完了通知には農家の支援策などを定めた関連法案を衆参両院で可決し、成立させる必要もある。与党は18日の衆院内閣委員会で採決を目指していたが、野党がTPP交渉を担当する茂木敏充経済再生担当相の不信任決議案を提出して反発し、採決には至らなかった。

 政府は米国を除く11カ国によるTPP11の早期発効にめどをつければ、6月中旬以降に始まる米国との新たな通商協議の交渉材料になるとみている。米国はTPP復帰の条件として自国が有利になるよう再交渉を求めているが、「TPP11以上の譲歩はできない」と説明しやすくなるからだ。

 TPP11は今年3月に署名された。6カ国以上の国内手続き完了から60日後に発効する。既にメキシコが手続きを済ませているほかオーストラリア、ニュージーランドなども意欲的で、参加国は早ければ年内の発効を目指している。

 発効後は参加国・地域の拡大も視野に入る。タイが今月に参加の意向を表明、コロンビアや英国、韓国なども参加に関心を示している。

 茂木氏は同日の衆院内閣委員会で「(TPP11の)早期発効に全力を尽くし米国の復帰を議論していきたい」と強調した。