【データで読む】フィリピン、インバウンド好調も海洋汚染で打撃

ボラカイ島のホワイトビーチを訪れた観光客。フィリピン政府は下水による海洋汚染を理由に同島を4月26日から観光閉鎖とした(ブルームバーグ)
ボラカイ島のホワイトビーチを訪れた観光客。フィリピン政府は下水による海洋汚染を理由に同島を4月26日から観光閉鎖とした(ブルームバーグ)【拡大】

 2017年にフィリピンを訪れた外国人旅行者は、前年比11%増の662万人となり、政府目標の650万人を上回った。これまでも、多少の波はあるものの、外国人旅行者は増加傾向にあり、政府の観光開発計画では、22年に17年の倍近い1200万人の誘致を目指している。

 インバウンド収入は旅行者数を上回るペースで増加しており、16年の3130億ペソ(約6640億円)はフィリピンの財・サービス輸出額の7.7%に達した。政府計画では、22年に16年の約3倍にあたる9220億ペソまでインバウンド収入を高めることをもくろむ。

 しかし、足元では不安要素もくすぶり始めている。外国人旅行者数を目的別にみると、ビジネスや知人の訪問が横ばいの一方、休暇目的の旅行者は、10年夏に発足したアキノ政権が観光開発に注力したことや、統合リゾート施設の開業もあって増勢が強まった。今後も外国人観光客のさらなる増加が期待されるが、これに伴ってリゾート地におけるインフラ整備や環境保護の拡充が急務となってきている。

 4月26日には、国内有数のリゾート地であるボラカイ島が「海洋汚染」を理由に閉鎖された。観光客受け入れのために無秩序に開発が進められ、海への下水垂れ流しが広がったことが原因だという。閉鎖期間は6カ月に及ぶ予定であり、その間、下水施設の整備や違法建築物の撤去などが行われる。

 海洋汚染は、パラワン島エルニドやパングラオ島など、フィリピン各地の人気リゾートでも問題になっている。政府・地方自治体は、ホテルや飲食店などに環境基準への適合検査を実施し、違法施設には撤去命令を出すなど、環境改善に向けた対応を強化している。(編集協力=日本政策投資銀行)