公共交通機関の自動運転システム 高齢者の足確保を目指しニュータウンへの導入を試行

 国土交通省は、住民の高齢化が進む郊外のニュータウンで、バスやタクシーなど公共交通機関に自動運転システムを導入する実証実験に乗り出す。地域の路線バスは、自治体の財政難や運転手不足で運行本数が減っており、高齢者が買い物や通院に使う交通機関を維持する狙い。実験に前向きな自治体を数カ所選び、2019年3月までに始める。

 高度成長期に開発されたニュータウンは団塊ファミリーが多く入居したが、今では親の世代だけが残り、高齢化が著しい。東京都の多摩ニュータウンで初期の1970年代に入居が始まった地区は、15年時点で65歳以上が3割を超えた。

 実験では、ニュータウン内のスーパーや病院のほか、ニュータウンの外にある駅へ向かうバスの停留所などを目的地に設定。車の運転が難しい高齢者を、自宅から送迎する「タクシー方式」か、これらの目的地を巡回する「バス方式」を想定する。具体的な運行の形態は国交省と自治体が協議して決める。

 丘陵地を切り開いたニュータウンには坂道が多く、自宅からバス停までの移動も高齢者には負担となる。そのような地区では、住宅地を細かく巡回するルートを設定するなど、地域の事情に合わせた運行方法も探る。

 道路が広く、外部から入ってくる自動車が比較的少ない大規模ニュータウンは、交通の安全を確保しやすい。そのため国交省は都市部に先駆けて自動運転を導入したい考えだ。担当者は「自動運転で生活が便利になれば、子育て世帯の転入も期待でき、ニュータウンの活性化につながる」と話している。