【論風】リベラルアーツの強化急務、真の教育革新待ったなし (1/3ページ)

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 □武蔵野大学客員教授・土居征夫

 トランプ米大統領と習近平・中国国家主席の台頭により激変が始まった世界で、欧米の若者には西洋古典などへ回帰し、現在の世界を蓋(おお)う覇権主義(世界秩序の分断)、金融資本主義(格差拡大と社会の分断)、大衆迎合の民主主義(ポピュリズム)の暴走に代わる、新しい人類の知の創出に向けて学びを深める動きが急だ。

 知的基盤のコア欠如

 ギリシャには、善とは何か、民主主義とは何かを学びに欧米から大勢の若者が旅をしているようだ。日本の若者は、人名の暗記をするだけで、アリストテレスなどギリシャ哲学を生きたリベラルアーツとして学んでいない。

 昭和の世代までは、家庭や社会の中で辛うじて東洋の古典や思想に学ぶ環境があり、それが日本人の知的基盤のコアを形成していたが、今や戦後教育の悪弊が出て、次の世代の知的基盤には大きな陰りが見られる。伝達技術中心で青少年の知的訓練の機会を奪った国語教育の失敗もあり、読書をせず、会話の要領だけ巧みだが知的基盤のコアのない日本人が輩出されている。

 これでは、激変する世界をリードすることはおろか、その荒波を乗り切っていけるのかも心配だ。日本人のノーベル賞受賞が将来続かなくなることが危惧されるゆえんでもある。真のイノベーション人材の不足も深刻だ。経済産業研究所(RIETI)では、4分野に分けて、最近10年間のIT導入による雇用の増減を国際比較して分析している。欧米では、第3分野の企業ルーティン職の雇用が大幅に減少する一方、第1分野の独創性とビジョンを持った高度スキル・リーダー人材が大きく増加しているのに対し、日本では、第3分野の減少は同じだが、第1分野の真のリーダー人材は増えず、わずかに第2分野の企業ノン・ルーティン職(企業の企画部門・技術部門)の人材が小幅に伸びているに過ぎない。

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