【専欄】「性の都」東莞の変貌ぶり IT関連の先端産業が誕生 (1/2ページ)

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 友人のAさんが広東省・東莞(とうかん)にある日中合弁企業での2年余りの勤務を終えて帰ってきた。さっそく会って話を聞いてみると、「東莞はこの数年間ですっかり変わった」と言う。

 かつて東莞は、中国華南地域における加工貿易の最大拠点として脚光を浴びたが、労働者の賃金高騰によって優位性を失いつつあった。また、売春天国のため「性の都」との汚名も着せられていた。それが東莞に滞在していた数年間で、すっかり面目を一新したと言うのである。

 東莞ではかつて加工貿易が隆盛し、世界に家具や靴などを輸出していた。ところが賃金の高騰に伴い、多くの外資企業が中国内陸部やベトナムなどに移転していった。このため東莞は域内総生産(GDP)伸び率も減速し、2000年代初めには前年比伸び率が6%台に落ちたこともあった。このころは中国の多くの地域が10%を上回る高度成長を続けていた中で、東莞の凋落(ちょうらく)ぶりは目に余るものがあった。

 家具や靴などの輸出は大幅に減り、例えば昨年の靴輸出はわずか161億元(約2800億円)でしかない。輸出全体に占める加工貿易の割合は、10年前にはほぼ9割を占めていた。昨年はなんとか50%を死守していたが、今年はついに50%を割り込みそうである。

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