米、鉄鋼輸入制限で日本製品など一部除外 EUは報復関税発動

20日、米上院財政委員会に出席したロス商務長官=ワシントン(ゲッティ=共同)
20日、米上院財政委員会に出席したロス商務長官=ワシントン(ゲッティ=共同)【拡大】

 トランプ米政権が発動した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限をめぐり、米商務省は20日、関税の適用を品目別に除外する手続きで、日本や中国など5カ国から輸入する42品目を適用除外に選定したと発表した。ベアリングや切削工具を手がける不二越の米国法人など、輸入製品を使っている米国内の7社が申請した製品が選ばれた。トランプ政権が輸入制限を発動してから23日で3カ月となるが、品目別の除外手続きの結果公表は初めて。商務省は今後も選定作業を続ける。

 適用除外の対象となったのは、米国内の生産では需要を賄えず、外国製品に頼らざるを得ない製品の一部。輸入制限による米企業の調達への影響を軽減することが狙いだ。日中のほかに除外されたのはスウェーデン、ベルギー、ドイツの製品。11社から申請があった56品目は却下された。

 ロス商務長官は声明で「消費者に近い産業の需要を考慮し、バランスの取れた決定をした」と説明。ただし20日の上院財政委員会で、申請件数は2万2000を超えたとしており、品目別の除外手続きの停滞も明らかになっている。

 一方、欧州連合(EU)の欧州委員会は20日、米国による鉄鋼とアルミニウムの輸入制限への対抗のため、28億ユーロ(約3600億円)相当の米国からの輸入品に対する報復関税を22日に発動すると発表した。米国が今月1日にEUへの輸入制限を適用したため、欧州委は報復関税など対抗措置を調整。欧州委によると、全28加盟国も発動を支持した。対象は鉄鋼やアルミのほか、オレンジジュースやウイスキー、二輪車なども含まれ、25%の追加関税が課される。

 マルムストローム欧州委員(通商担当)は「われわれの対応は釣り合いのとれたもので、世界貿易機関(WTO)のルールと完全に合致する」と強調した。

 欧州委は既に報復関税の対象として64億ユーロ相当の品目リストを公表しているが、残る36億ユーロ分はWTOが米国の措置を違法と認定した後などに課す方針。(ワシントン 塩原永久、ベルリン 宮下日出男)