【ビジネス解読】会長死去で揺れる韓国LG 若き「4代目」実績不足で混乱も (3/4ページ)

5月に死去した韓国LGグループの具本茂会長(右)。政治と一定の距離を置きクリーンなイメージだった=(ロイター)
5月に死去した韓国LGグループの具本茂会長(右)。政治と一定の距離を置きクリーンなイメージだった=(ロイター)【拡大】

  • 韓国LGグループのロゴ(ロイター)
  • LG電子の新型有機ELテレビ=4月、東京都内

 外部の見方も厳しい。LGの世代交代に関心を示すある野党国会議員は「グループ内ですら顕著な経営成果を見せていないという評価だ。(今回の継承が)公正な待遇と正当な競争を核心とするLGの『正道経営』に沿っているのか」と首をかしげる。日本の一部メディアも、創業家の家長優先主義的な考え方はダイバーシティー(多様性)が進む現代に逆行する意思決定との批判を招くリスクがあると指摘する。長男という理由だけでこのまま会長に就任するなら、株主の理解を得られないとの声も少なくない。

 経営環境の変化も光謨氏にとって逆風だ。ディスプレー事業は、本業のもうけを示す営業損益が今年1~3月期に四半期として5年ぶりに赤字(赤字額は983億円ウォン)に陥った。長年世界首位を守ってきた液晶パネルの出荷量が中国国有のディスプレー最大手、京東方科技集団(BOE)に抜かれて規模のメリットが薄れたことなどが要因だ。切り札の有機ELパネルも搭載テレビの普及が進まず不調が続く。採算性の良いスマートフォン向けの中小型を模索するものの、サムスン電子が圧倒的なシェアを握るだけに道は険しい。

 リチウムイオン電池は車載用が振るわない。16年に中国政府からLG製を搭載した電気自動車(EV)が補助金の対象から外されたためだ。現地工場を増強し巨大市場を攻略する方針だったが当てが外れ、それ以降、中国勢との差が広がっている。

さらに追い打ちが