原油増産、米の“外圧影響” 「実効性乏しい」との見方も

 加盟国間で足並みの乱れが表面化していた石油輸出国機構(OPEC)が22日の定時総会で7月からの生産量増加で暫定合意した。今後は原油価格の動きなどに注目が集まるが、同日午前のニューヨーク原油先物相場はOPECなどによる増産は実効性が乏しいとの見方から急伸している。

 今回のOPEC総会に向けては、盟主サウジアラビアが原油価格の急上昇を抑えるために減産幅縮小を提案。経済制裁などで生産量を増やせないイランやベネズエラなどは反対し、意見対立が先鋭化していた。

 OPECが生産量増加で合意した背景には“外圧”もあった。トランプ米大統領は4月と今月、ツイッターへの投稿で、原油価格は高すぎるなどとしてOPECを批判。11月の中間選挙を控え、協調減産がガソリン高を誘って消費者心理を冷やし、自身の支持率を押し下げかねないとして見直しを求めたとの声が多い。

 生産量増加で合意したことについて、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミストは「米国の意向を背景に原油価格を上げたくないサウジと、下げたくないイランの妥協の産物だ」と語る。

 22日午前のニューヨーク原油先物相場は、指標の米国産標準油種(WTI)8月渡しが一時前日比2.39ドル高の67.93ドルと5月31日以来約3週間ぶりの高値水準をつける場面があった。

 今後の見通しについて、野神氏は「秋ごろにかけて1バレル=50ドル台後半~70ドル台前半で推移するのではないか」との見方を示した。(森田晶宏)