低温物流、イチゴ農家に好評 ミャンマー、日系企業のノウハウ活用

ミャンマー・ヤンゴンの市場に到着したばかりのイチゴを仲卸業者(左)から買い求める女性=4月7日(共同)
ミャンマー・ヤンゴンの市場に到着したばかりのイチゴを仲卸業者(左)から買い求める女性=4月7日(共同)【拡大】

 ミャンマーで「消費者に果実本来のおいしさを届けられる」と、日系企業が手掛けるイチゴの低温物流の評判が高まっている。物流の近代化が遅れ市場への輸送で多かった腐敗ロスは、低温輸送により減少。コストはかかるがブランド商品化などが可能になり、イチゴ農家の夢は膨らむ。

 ミャンマー中部の高原地帯ピンウールウィン。国内最大のイチゴ産地にある集荷拠点には毎朝、多くの農家が摘みたてを届ける。イチゴは8度に保たれた低温輸送トラックで運ばれ、翌日未明に約700キロ離れた最大都市ヤンゴンに到着する。

 スーパーでイチゴを買った主婦は「張りがあり、新鮮さが実感できる」と満足げだ。

 ミャンマーは、農村人口が全体の6割以上を占める農業国。2011年の民政移管前は近代的な物流手段がなく、高級果実とされるイチゴも長距離バスの荷台に乗客の持ち物と一緒に詰め込まれ、店頭に並ぶまでに3割近いロスが発生していた。そこに着目したのが、双日グループの合弁会社プレミアム双日ロジスティクス(PSL)。上沢一郎代表は現地のイチゴ農家を日本に招待し、実際に低温物流網を見せてその付加価値を伝えた。

 約4000平方メートルの畑を保有する農家のネー・リントンさんは、日本で見学した低温物流にいち早く飛びついた。「発送後の損失がなく、大きなやりがいがある」。収益を伸ばし、ブランド化してヤンゴンの富裕層向けスーパーに納品する。品種にもよるが、価格は500グラムで3500チャット(約280円)と、通常の市場で売られるイチゴに比べほぼ倍だ。

 PSLと農家は、旬の1~5月以外もイチゴを冷凍保存し、生ジュースや洋菓子の材料として供給。来年からはタイへの輸出も決まった。ただミャンマー国内では、冷蔵設備が整うスーパーは都市部に限られている上に、消費者の多くはまだ安さを最優先する。

 上沢氏は「低温輸送された青果物が付加価値に見合う価格で庶民に受け入れられるには時間がかかるが、物流事業の将来的な事業拡大には農業分野への参入が不可欠だ」と話した。(ピンウールウィン 共同)