人民元安、再び中国批判も トランプ米大統領、為替操作発言の過去

就任後にトランプ米大統領は中国を為替操作の「グランドチャンピオン」と評した(AP)
就任後にトランプ米大統領は中国を為替操作の「グランドチャンピオン」と評した(AP)【拡大】

 中国人民元が2015年の実質切り下げ以来の急激なペースで下落していることにより、既に激化している米中両国の緊張に新たな側面が加わりつつある。

 トランプ米大統領は就任後、中国を為替操作の「グランドチャンピオン」と評した。人民元は6月末までの2週間で3%下落し、中国の対米輸出に有利に作用し、米国の対中輸出に不利な状況が生まれつつある。このところの元安は、基本的に当局の管理下にある通貨としては大きく、中国資産をめぐる懸念が強まっている。上海総合指数は弱気相場入りし、発行体企業が社債の元利払いに支障を来すケースも増加中だ。

 元安は市場での取引の結果であり、当局が指示したものではないにせよ、米政権が自国企業に対する海外からの投資抑制を検討し、中国製品340億ドル(約3兆7740億円)相当に追加関税を課す構えの中では、トランプ大統領にこの中国批判の言葉を再び持ち出させかねない。

 トランプ大統領は中国の不公正な貿易慣行を批判しているが、米財務省は中国を為替操作国と認定することを避けてきた。認定すれば、中国からの報復を招く公算が大きい。

 BNPパリバ・アセット・マネジメントのシニアポートフォリオマネジャー、コリン・ハート氏(ロンドン在勤)は、中国が「人民元の一段安を容認すれば米政権はネガティブな反応と受け止め、それが緊張をさらに高めるきっかけとなり得る」と指摘。中国が景気減速の明白な証拠がない中で積極的に元安方向に誘導していると見なされれば、貿易目的だと主張する根拠を米国に与えることになると述べた。

 ホワイトハウスのウォルターズ報道官はコメント要請に現時点で応じていない。(ブルームバーグ Malcolm Scott)