【中国を読む】社会や消費市場が一気に変貌 「生活の質」向上求め事業機会の増加に期待 (1/3ページ)

サッカーワールドカップの試合を観戦する中国の若者
サッカーワールドカップの試合を観戦する中国の若者【拡大】

 サッカーワールドカップ(W杯)の協賛企業に中国企業が多いことが話題に上がっている。中国の協賛企業は、2014年のブラジル大会までは1社だけだったが、今回のロシア大会では一気に7社まで増えた(「FIFAパートナー」「大会スポンサー」「地域サポーター」にランク分けされた協賛企業の合計)。グラウンドを取り巻く看板や監督・選手インタビューの背後に中国企業のロゴが映し出されるのを見て、何ともいえない違和感を覚えた。(清華大学・野村総研中国研究センター 川嶋一郎)

 あの違和感は何なのか? 中国語(漢字)が書かれたロゴも違和感の一因だったかもしれない。中国の協賛企業は大企業であることに違いないが、「adidas」「Coca-Cola」「VISA」など、他の協賛企業に比べて、必ずしもグローバルな事業展開をしているとはいえず、世界的な知名度があるともいえない。

 そんな中国企業が高額な費用を支払ったのは、もちろんそれに見合うだけのリターンが見込めたからだ。今後のグローバル市場での成長も頭にあるのだろうが、短期的なリターンは「中国国内でのPR効果」だ。

 「世界最大のスポーツの祭典において、中国企業が中国消費者向けの広告を打っている」ことが「違和感」の大きな原因だったと思う。それは半面で、中国企業と中国市場の勢いを示している。

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