シラスウナギ漁、内外から厳しい目…規制の強化急務

 国内のシラスウナギ漁に密漁や無報告など不透明な部分が大きいことは、これまでも問題にされてきた。今夏も20日の土用の丑の日前後に、多くのウナギ製品が日本人の胃袋に収まるが、不透明な取引の存在を知りながら、大量販売や大量消費を続けることに内外から厳しい目が向けられるのは確実だ。

 輸入品にも問題が多い。貿易統計によると、昨年11月から今年4月までに輸入されたシラスウナギ約5トンの全てがシラスウナギ漁の実績がない香港からだった。

 香港産シラスウナギは、稚魚の輸出を禁じている台湾などからの密輸品の疑いが濃いとされる。国内の無報告などと、不透明な輸入品を合わせると、日本の養殖池に入れられたシラスウナギの半数以上が「出所不明」ということになる。

 来年はワシントン条約締約国会議が開かれる。絶滅危惧種のニホンウナギをめぐり、日本に厳しい意見が突き付けられることが想定される。業界関係者が襟を正す努力をするとともに、行政による規制強化が急務だ。