政府の後押しにより、すさまじい勢いで行われている「創る中国」の勢いは止めようもなく拡大中である。そんな「創る中国」の象徴であるエンターテインメント産業の現状は、他のあらゆる産業の現状を映すと考えていい。その勢いの原因を探ってみると、中国の今がリアルに見えてくる。(ヒットコンテンツ研究所社長・吉田就彦)
最も重要なポイントは、スマートフォンの広がりによる中国内陸部の覚醒だ。これまで改革開放の恩恵を受けてきたのは沿岸部であり、その後内陸の大都市圏へと広がっていった。ここまでは爆買いする来日中国人の理由として、富める中国のよく知られる実体だ。
ところが、現在エンターテインメント産業で起こっていることはさらにその先である。猛烈な勢いで広がっている動画プラットフォーム会社のビジネスを見ると、既存の富裕層や中間層に加えて、近年新たに加わってきたのが、農民も含めた内陸部の人々だという。
かつてトウ小平が「白猫であれ黒猫であれ、鼠(ねずみ)を捕るのが良い猫である」と言い、「富める者から富め」と言った富める者が富んでいき、さらにこれまで富めなかった者が富んだ者に引きずられるように、いよいよ経済の表舞台に出始めてきている。